城戸(以下、城):秋吉先生の良いところは、まずは実行力がある。情が深い。何にも恐れない。頭の回転が早い。夢を一緒に語れる。それもやっぱり規模の大きな夢なんですよね。
秋吉(以下、秋):城戸先生はね、くったくがなくて、話しかけやすい。笑顔が素敵で話をよく聞いてくださること。さっぱりしたご性格なので気を遣わないでお話ができる。力まず緊張しないでお話ができる。
それからね、夢が語れるところ。一緒だな。1番最初に会った時に夢をお話しました。「あんまり金儲けに関係なさそうな話やね(笑)」って終わるところが、ポイントだったんです。
城:ふふふ。
秋:「夢を語るのはいいけど、なんもお金にならんね〜」って、2人で苦笑しました。で、フットワークが軽い。もっといっぱいあるけど、魅力が語りきれない。ごめんね。
城:ありがとうございます。
城:本当にあっという間というのが1つと、秋吉先生がいつも「コロナという、いらんもんまで一緒に預けて…」ておっしゃるんですけど、今振り返って見ると、とても不謹慎かもしれないけど、コロナがあったからこののんびりゆっくり型でこれたのかなと。だから、少しずつ活動が活発化していくところから、私がどこまで一緒に早足で行けるのか、ちょっと今からが怖いなと思っているくらいです。
秋:そのように思ってくださっていたとわかって、ちょっとホッとしました。ありがたいです。
秋:第1印象なんですかね。「わー、この人、私の後にここをやってくださらないかな」って。たぶん最初出会った頃にそう言ってるんです。そしたら城戸さんから「まだ私、入ったばっかりですから」と言われて。「あ、そうでしたね」って(笑)。
城:ははははは。
秋:ずっとお話していても、私にないものを持っていらっしゃる。ご主人がお医者さんだったりするし、城戸さん自身も高齢者施設を経営されていて、「いいな」って。生活のフィールドがすごく違う。そこで培われた人脈にも期待がありました。
その頃は2人でしきりに夢を語っていました。お金にもならんような夢を2人で紡いていたんですけれども。そういうのって共通するところがあるんですよね。夢みる夢子ちゃん的なところがあって、私も安心してお任せしようかなと思ったんじゃないかな。
あんまりそろばんを弾かれると、ウッと思ったかもしれません。ただうちは自主事業型のNPO法人としてここまで20年以上歩めたというのはね、やっぱりひとえに会員さんの努力に他ならないんですけども、大きくなった組織をこれからまとめていくと考えると、1市民の私じゃ心もとない。やっぱり経営者の1人でもいらっしゃるので、城戸理事長はこれからの協会を担っていってくださるにはとても相応しい方だと思います。
1人ひとり面接をしたわけじゃありません。私の偏見と独断かもわかりません。でも、誰かが20年も代表をやった後をする人ってなかなかいないですよ。
秋:でも、交代の時期を待つのにはすごくかかりました。だって彼女もいろいろやりたいことがあって、事業も1つひとつ増やしていかれて。そろそろ・・・とこっちは思っても、「また新しく施設がオープンしました」って言われると、「理事長をやって」とは言えなくて。
そんなわけで交代の時期がちょっと伸びたんですけど、それはそういう理由です。彼女は忙しかった。でも責任感は強かった。夢みる夢子ちゃんでよかったと思っています。
城:セラピューティック・ケアって何か枠からはみ出た、ダイナミックなうねりのようなものがあるんですよ。世界にも出ていけるような。ノンバーバルだから。世界の誰にでも通じるし、はたまた私の仕事場である障害児や認知症の方たち、あるいは精神的な鬱の、上手に感情を出せなかったりとか、逆に出したいのに言葉が上手にしゃべれない、そういう人たちへも触れることで心の扉を開けるような魅力がある。枠組みからまったく外れている、フレームがない世界というのが私のイメージなんです。
そういうところを当初から感じていたし、なんとなくこれは自分のしたいことってずーと思っていたんです。少しずつ色んなことをみんなが支えてくれる中で、歳をとりながら今度は私の手のひらで何かを直接に助けるのを増やしたいという気持ちも、これからね、私の課題なので。
城:自分の父や主人の父が言っていたことなんですけど、「人が『してくれない?』と言ったことを名誉と思って頑張ってごらん」と。私はとてもそんな….と思うけど、『周りの人から言われたことを頑張ってみると、その枠にはまるくらいの人間に気が付いたらなってるんだよ』って。それはすごく自分のなかで思っています。
逆にこうやって声をかけていただいたってことは名誉なことだし、私をもうひと枠大きくしてくれるチャンスだったのかなって受け止めて、頑張らなきゃと思っております。お恥ずかしいですけど。
(収録日:2022年3月16日/ 聞き手:水上)