会員専用ページトップ 秋吉美千代×城戸由香里 スペシャルトーク Long Ver.(全6回)

目次

〉 第1回:理事長交代の背景
〉 第2回:初代理事長として、これまでの歩みを振り返って
〉 第3回:理事長になって1番驚いたこと
〉 第4回:新しい体制で取り組みたいこと
〉 第5回:事例とエビデンス
〉 第6回:ケアを持続することで効果があがる

第2回:初代理事長として、これまでの歩みを振り返って

—– 秋吉先生は前身の任意団体「セラピーケア・ネットワーク」(2002年4月設立)から通算すると、18年にわたって団体の代表を務めてこられたわけですが、特に心に残っていることを教えてください。

秋:実は「セラピーケア・ネットワーク」の前にも、日本赤十字社福岡県支部特殊奉仕団に所属する「福岡県ビューティケア赤十字奉仕団」というボランティア団体で5年ほど活動していて、私はその代表もしていたんですね。

でも、さらに心のケアを深めて、全国に、いや世界中に広めたいと思ったので、特殊奉仕団から分離して「セラピーケア・ネットワーク」を立ち上げたわけですね。それで、その後何年かは2つの団体の両方で代表をしていました。

ネットワーク設立の時に赤十字奉仕団の仲間も何人か連れてきたんですが、ボランティア活動先は同じだったから、「来週どこどこにいくんだけど、来てくれる?」って電話をした時に「セラピーケア・ネットワークでの活動ですか?赤十字奉仕団の方ですか?」って聞かれたんですね。それで「今日はセラピーケア・ネットワークよ」って言うと、上手にお断りされて。でも、赤十字奉仕団の方のボランティアだと言うと来てくださる。

城:うーん。

秋:その時、「日本赤十字社福岡県支部のボランティア」と、「民間の何か分からないボランティア」

の違いを嫌というほど体験しました。で、これは自分が持っている団体をなんとか法人化をして確かなものにしなくてはならない。その時、本当に気づきをいただいたんですね。

いろいろ周りに聞いたら、株式会社とか有限会社とか勧められました。でも申し訳ないけど、お金儲けはできない。まず私、集金ができない人なんです、恥ずかしながら。

では、赤十字で何年もボランティアの勉強をしてきたんだから、ボランティアで法人化できないのかなと思ったときに、あの頃(2004年ごろ)、タケノコのようにNPO法人が誕生していたんです。一般社団法人よりはNPO法人だったんです。それで、夜間にあっていた「NPO設立の勉強会」に通って勉強して、NPO法人を立ち上げることにしたんです。

城:そうだったんですね。

秋:でも、そこにはもう一つ理由があったんです。

『いいんじゃない、死ぬまで(私が代表を)やれば』という声も耳にしていました。でもそれでは私が死んだ時にセラピューティック・ケアがなくなる。私はともかく、セラピューティック・ケアだけは後世に残したいという思いが大きかったんです。これは信頼すべきスキルなので、やっぱり法人格が必要だったんです。

それで法人をとったら、今度は認定NPO法人を目指したいなと思うようになりました。それは、私と一緒に歩いてくれる会員さんに私を突き動かす力があったからなんです。素晴らしい人たちが仲間としてボランティアをやってくれているんですね。

それで、その人たちのためにもと、書類などの審査が本当に大変でしたが、無事に取得することができました。もくもくとボランティアを続けてきてくれた会員さんの力でここまで来たんだなという思いがあります。

城:2014年ですね。福岡県の決定による1番はじめの認定NPO法人になれました。

—– 理事長から名誉理事長になられて、どんな変化がありましたか?

秋:以前は人前で挨拶をしたり、文章依頼がいっぱい来て、それに追われてたところがありました。

今は気分的に縛りがなくなって、その分、城戸さんに負担がいっているかと思うんですけど。でも彼女の文章も素晴らしいし、心配したこともない。読んで「さすがだね」と感心することしきり。私が今84歳でしょ、年齢的に私よりひと回り以上も若いから、安心してお任せしています。

もう文章とか書かんでいいから、その時間を会員さんたちにぬくもりのある情報を伝える時間にあてたい。

『私に出会ったことを誇りに思います』って言ってくださる方もいて、そういう時は涙が出るほど嬉しいです。だって私、太宰府の普通のおばちゃんよって思いますから。もったいないなって思うんだけど、もったいないって思う前に、それに相応しい人間になろうと思って努力をすると自分が徳をするって思うんです。謙虚になれるし、いつも学びたいなって思うとモチベーションは下がらない。

今はコロナ話題で触れることも対話することも、うちの一番のミソのところが出せないでいますけどね、逆にものすごくその大事さを知ったと思うんですよ。だからこれから出番が来たら、忙しくなると思いますよ。

 

(収録日:2022年3月16日/ 聞き手:水上)