会員専用ページトップ 秋吉美千代×城戸由香里 スペシャルトーク Long Ver.(全6回)

目次

〉 第1回:理事長交代の背景
〉 第2回:初代理事長として、これまでの歩みを振り返って
〉 第3回:理事長になって1番驚いたこと
〉 第4回:新しい体制で取り組みたいこと
〉 第5回:事例とエビデンス
〉 第6回:ケアを持続することで効果があがる

第3回:理事長になって1番驚いたこと

—– 実際に理事長になられて、1番驚いたこと、1番困ったことを教えてください。

城:驚いたことは、組織の大きさ。『理事長なんだから、ちょちょいのちょいで決めてよ』と言われた人がいましたけど、そうじゃない、っていうことを実感しています。組織が大きく、歴史があり、秋吉先生が積み重ねてきたことが、そんな1朝1夕で右から左へ変わったりするものじゃない。分かっていたはずなのに、それは今すごく学んでいます。

なので、理事長と言う名前はついているけど、まだ修行僧(笑)なので、「理事長だから何とかしてよ」と言われても「すみません、まだそこまで修行が足りません!」という状態なので、そこは言われても思うようにできないっていうか。

秋吉先生は20年近くどんなに苦労されたのかなっていうのも実感しているところです。みんな理事長に言えばいいんだって、あーだのこーだの言ってきた人たちもいるんだろうなと。

それを受け止めていくのも必要。でもその中で、驚いて嬉しいことはやっぱり、1人ひとりの会員さんが力を持っていて、志を同じくする人が集まったってことなんでしょうね。能力もあるし、この人たちに思いっきり能力を発揮してほしいし、頼りたいなと。

こんなに素晴らしい人たちが集まっているんだよって、友人にも言います。『そりゃボランティアできるんだから、幸せな人たちの集まりでしょ』って友人には言われたんだけど、そうとも限らないよって。志を同じくする人たち、素晴らしい人たちがこんなにたくさんいるっていうのも驚いたこと。

すみません、うまくまとめられなくて…。

秋:私、いま新理事長のお話を聞いててね、私の性格そのままの協会を作り上げてきたんだなと思いました。赤十字のボランティアを辞めたのも枠から外れたかったんです。そこだけで収まりたくなかった。

例えば、福岡県ビューティケア赤十字奉仕団時代はお化粧していましたからね、女性だけが喜びますよね。ま、たまに男の人も喜んでいるのかもしれないけど(笑)、いや、これって違うよねっていうところからスタートして、イギリスに行っちゃったわけでしょ。

城:うんうん。

秋:いろんなことがあんまり聞こえてこなかったのは、たぶん私が動いているから言えなかったんだと思う。どこへでも自分でボランティアに行くし、全国の会員さんのことも把握していたんですよ。それを会員さんも喜んでくれて。自分の方を向いてもらっていると。北海道にいようと沖縄にいようとね。

1枚のハガキでいいんですよ。これからはもっと、会員さんにそういう温もりのある情報の伝達をしていきたい。今はLINEやTwitter、Facebook、メール等いろいろあります。全国の会員と非常にコミュニケーションが取りやすくなりました。これはすごいメリットだと思います。

城:そうですね。

秋:心のケアっていうのは、スキルは中心にあるけど、それを包んでいるオブラートのような存在があると思うんです。その人に対する優しさとか思いやりとか。セラピューティック・ケアって、『右から何回』って、そういうのじゃないんですよ。もっと大きな世界を見据えています。ユニバーサルケアだから。私はイギリスから持ってきたけども、イギリスに逆輸出したいくらいの気持ちでいます!

城:ユニバーサルケアですね。ボーダレスな。だからこそ私たちももっともっと学んでいく必要がある

秋:もっとこう発展的に会員さんと一緒に、ボランティアでも進化をしていきたい。その組織のリーダーとしてどうしたらいいかと、率先してやっていましたね。まず自分が学ばなければと。
ある時ボランティア先で、本人は嫌がっているのに、施設のスタッフの方が歩行のリハビリテーションに連れていこうとされるので、なぜだろうと思って尋ねると、「廃用症候群が怖いからよ」と答えられました。
私は素人ですから、その時はその言葉を知らなかったんですね。それで、福祉に関わる私が無知では困ると思い、その頃すでに70歳を越えていたと思いますが、放送大学でエキスパートコースの「福祉コーディネーター」を受講し、資格も取得しました。リハビリテーションについての基礎知識も得られて、勉強して本当によかったなと思っています。

:ボランティア仲間や活動先施設のスタッフからもたくさん学びを得て来られたんですね。私も学び続けます。

 

(収録日:2022年3月16日/ 聞き手:水上)